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仙台市地域経済動向調査報告について

 1.はじめに

 表題にあるとおり仙台市経済局が公表している「仙台市地域経済動向調査」を読んでの感想である。基本的にアンケート結果を集計し、グラフにしたものとなっている。

 

 2.感想

 調査結果の分析というページがあるが、ここをもう少し頑張れよというのが率直な感想だ。毎回テンプレで、数値だけ変えたものとなっている。最新の結果を見ると、仙台市の地域経済はあまり良くないらしい。指標にDIを用いている。調査報告から引用させていただくと、

 「DIとは、Diffusion Index(ディフュージョン・インデックス)の略であり、「良い/悪い」「増加/減少」などの定性的な判断を指標として集計・加工した指数である。分析にあたっては、DI値のみではなく、回答の構成比、前回調査からのDI値の変化に留意する必要がある。」

となっている。仙台の地域経済が良いか悪いかを判断する調査報告ということがわかる。確かにこの目的に関しては調査報告の分析で書かれている。とすれば、仙台市経済局の頑張りどころとしては、アンケートの有効回収数を増加させることだろう。平成30年2月に発行された最新の調査報告によると事業所規模全規模の有効回収率は72.6%とそれなりに高い数値となっている。しかしながら、事業所規模が大規模な事業所の有効回収率は55.5%となっており、中規模の77.5%、小規模の76.3%に比べ低くなっている。サンプル調査で大規模の事業所は200に絞っているのだから、担当者はもっと頑張って欲しいところである。

 そして、この調査報告を活用しているひとはどれくらいいるのかは気になるところである。わざわざ調査しているのだから、広く利用されるものであった方が良いだろう。

 また、調査報告の最後に日本銀行仙台支店「経済の動き」を掲載している。わざわざ掲載するなら、一緒に調査した方が事業所の回答率が上がるだろうし良いのではないかというのが率直な感想である。その上、分析の質も上がるだろう。

 

 3.おわりに

 経済状況が良いか悪いかをアンケート等の根拠ある形で調査することは非常に重要である。日本銀行の短観などが良く利用されているのは聞くが、仙台市のこの調査を利用しているのを私は聞いたことがない。せっかく調査しているのだから、広く市民や産学連携として高等教育等に生かされる調査分析をしていただきたいところである。

 

閃光のクレア

 

<参考文献>

仙台市経済局 「仙台市地域経済動向調査報告(NO.76)」(平成30年2月)