「図解地方公会計対応自治体職員のための複式簿記入門」を読んで
〇個人の感想
これは参考書や学術書ではなく、自治体職員がマニュアルや手引きとして利用するための本であった。
タイトルの通りである。値段は、2,200円プラス消費税、2色刷りの再生紙でページ数は206である。
公費で購入して自治体職員が手元に置いておくべきものである。自己啓発のために一般のひとが購入した場合、
コストパフォーマンスは非常に良くないと思う。一度試し読みをされた方が良いだろう。
本の構成として、前半で公会計とはこういうものであり、複式簿記とはこういうものであるとして、後半で実際
に官公庁で行われるであろう仕分けのサンプルを掲載している。後半がメインであり、自治体の職員がこれを見な
がら勘定科目を仕分けるために手元に置いておけば役に立つだろう。その意味でマニュアルや手引きであるとした。
一方で、公会計についての説明はほとんどない。また、一番気になる企業と自治体の会計の違いについての説明
については読んで腑に落ちなかった。作成するものが違うのは当たり前の話である。結局のところなぜ、今までの
公会計はダメで、統一的な基準に基づく財務書類作成を求められているのかについてもこの本からは分からなかっ
た。この本の前半部分は簿記3級等の入門書のような解説であった。公会計について勉強したい場合は、この本は
適していないと考える。
地方自治体に財務諸表作成が求められる中、自治体職員の実践、入門書としては有用だと思われ、タイトルに偽
りはなかった。
閃光のクレア
<参考文献>
菅原正明公認会計士・税理士事務所(2017)『図解地方公会計対応自治体職員のための複式簿記入門」ぎょうせい